大判例

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東京高等裁判所 昭和63年(ネ)4130号 判決

一 当裁判所は、控訴人の本件請求は理由がないと判断するが、その理由は、次のとおり訂正、付加する外、原判決の理由のとおりであるからこれを引用する。

1 原判決三五頁一一行から三六頁一行にかけて、「作業床下方にJ字状の溝が設けられ、その余の作業床は、両外端とも<省略>状の引掛部を設けて」とあるのを、「作業床下方に<省略>状の溝が設けられ、その余の作業床は、両外端とも<省略>状の引掛部を設けて」と訂正する。

2 控訴人は、当審において、事実欄第二、二1のとおり主張するが、引用にかかる原判決が理由欄二1(原判決三一頁七行から三二頁七行まで)に認定した本件登録意匠(一)と被控訴人全体意匠との相違点中、相違点(一)について、被控訴人全体意匠のスライド後側支柱が、基本後側支柱に内包されていて、あたかも一本の支柱の観を呈することを認めるに足りる証拠はなく、むしろ、相違点(一)として認定した差異は、特に看者の注意を引きやすい部分である支柱の本数、形状についての顕著な差異であり、同じく相違点中、相違点(三)として認定した、X字状の安全枠と対角線状の一本の補強材の差異も、特に看者の注意を引きやすい部分である前側支柱間における安全枠、補強材の本数、形状についての顕著な差異であり、さらに、同じく相違点中、相違点(二)として認定した差異も、特に看者の注意を引きやすい部分である側部手摺がどの支柱間に設置されているかについての顕著な差異であるから、「鉄骨用吊り足場全体として見て特に注意を引くものではなく、全体としての意匠の中に吸収されてしまう。」ということはできない。

本件登録意匠(一)と被控訴人全体意匠とを全体的に観察した場合、両意匠は、美観を異にし、類似するものとは認められず、控訴人の前記主張は失当である。

3 控訴人は、当審において、事実欄第二、二2のとおり主張し、引用にかかる原判決が理由欄二2(原判決三四頁一〇行から三七頁三行まで)に認定した本件登録意匠(二)と被控訴人足場板意匠との相違点中、「作業床の単体が二つか、三つかの点及び複数の作業床の単体の接合部分の形状」は、作業床の表面に顕著に現れるものではないが、右両意匠は、鉄骨用吊り足場に組付けられたものではなく足場板そのものに係る意匠であるから、裏面や作業床の単体に分解された状態での外観に現れる形状の相違も、軽重の差はあれ全く無視することはできないのであつて、それらは対比に値しない部分の相違点である旨の控訴人の主張は失当である。

前記認定に係る両意匠の相違点のうち、基本的構成及び具体的構成における作業床の表面の形状の差異は、看者の注意を引きやすい部分についてのものであり、視覚を通じての美観において異なつた印象を看者に与えるものというべく、間接対比観察によつても両者は混同を生ずるものとは認められず、両意匠は全体的観察によつても類似するものとは認められない。

控訴人は、一体化された作業床とその左右に上下に起立する巾木からなる足場板の基本的構造の形状にこそ、本件登録意匠(二)の要部があると主張するが、引用に係る原判決が認定した本件登録意匠(二)及び控訴人足場板意匠の構成に照らせば、前記認定に係る両意匠の相違点、特にそのうち、基本的構成及び具体的構成における作業床の表面の形状もまたそれぞれ両意匠の要部を構成するものと認められ、控訴人の主張は採用できない。

3 控訴人は、当審において、事実欄第二、二3のとおり主張するが、引用にかかる原判決が理由欄二3(原判決三九頁七行から四〇頁七行まで)に認定した本件登録意匠(三)と被控訴人足場取り付け具意匠との具体的構成の相違点は、単に一方をシンプルにした程度の相違とは言えず、その相違点は、取り付け部及びフツクの表面という特に看者の注意を引きやすい部分についてのもので、両意匠を全体的に観察した場合、基本的構成の同一性を凌駕して、美観において異なつた印象を看者に与えるもので、両意匠は類似しないものと認められるものであり、控訴人の主張は失当である。

二 よつて、本件請求を棄却した原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却する。

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